旭酒造 桜井博志社長弁  160610

 カンブリア宮殿に出演したり、自身の苦労話を語った「逆境経営」を出版したり、今を時めく旭酒造の桜井社長の講演をメモをここに紹介します。

・「ピンチはチャンス、山口の山奥の小さな酒蔵だからこそできたもの」

・「逆境を好機と捉える経営改革発想」

・「大量販売論理からお客様への幸せ志向商品へ」

 (一級酒、二級酒といった安い量産の酒から純米大吟醸の高級志向へ)

●桜井博志

1950年生 松山商科大学経営学部卒、日本盛で3年学習後、旭日酒造入社

●日本酒業界の低迷がビジネスチャンス

  日本酒業界の出荷数量:1973980万石、2015307万石と40年間で1/3に激減

  旭酒造も19732千石、1984年には700石と激減

  →1984年から30年間で数量16倍、売上40倍に回復

●山奥の過疎地(山口のど田舎)故にビジネスチャンス

  →外に市場を求める、売れる場所に直接進出、東京や世界へ

  →宅急便の普及で少量配送可能

  →コピー、ワープロの普及により自力で情報発信可能となった

●県内でコメ(山田錦)が手に入らずビジネスチャンス(山口農協と喧嘩)

  →全国の山田錦探し(兵庫、新潟、栃木、福島)

  →山田錦全生産量48万俵、旭酒造が必要なのは20万俵で不足を危惧、

  →富士通と協力し、長岡の農家にICT導入により山田錦栽培支援中

●杜氏がFA宣言でビジネスチャンス

  →杜氏は農閑期に酒造り、収穫期は農業本業

  →夏に地ビール作りをはじめ、レストラン事業にも手がけ売上2億円に対し赤字1.9億円

  →田島杜氏の高齢化65歳で戻ってこない

  →社員4名だけで製造(杜氏の暗黙知の数値化・データ化)

●四季醸造体制の確立(業界常識の打破)

  →60m/12階建に全館空調を導入し、常に酒造に最適な冬の温度を維持

  →12Fから下に製造過程を実現(精米→蒸米→製麹→上槽→濾過→火入れ→貯蔵→瓶詰)

  →5万石の製造能力あり山田錦は20万俵必要(日本全国で30万俵の生産量)

  →村米契約、村全体の生産量を購入

  →農水省の減反政策からの脱却、山田錦の産地を増やした(新潟長岡他)

  →現在山田錦の収穫量は62万俵を超えた

●大量販売の論理(一級、二級)からお客様の幸せ指向商品に(純米大吟醸)

●追記

・平成20/20087月にまだ知名度の上がっていない旭酒造に初めて出会いました

http://agatsuma.justhpbs.jp/dassai080727.htm

・その後、平成23/201110月異業種交流会で桜井社長も参加され獺祭を堪能

http://agatsuma.justhpbs.jp/hanep110202.html