NTTはどうなる?持株会社は不要?
  2002年1月14日号の日経ビジネスに「NTT持株会社の宮津社長のインタビュー」と「NTTとNTTドコモの確執」の記事が掲載されていました。これを読んだNTTコミュニケーションズの社員である小生の感想文です。

   NTTの宮津社長に関する去就がマスコミで好き勝手な推測まじりで取り上げられています。私の所属するNTTコミュニケーションズの鈴木社長が有力候補だったそうです。ところが、昨年の中間決算で米国ベリオ社(インタネット事業者)の買収による特別損失5000億円の責任で後任の話はなし。そこからいろいろな候補者の名前が飛び交っています。この中で唯一期待したいことは若い世代への交替。60歳を超えるトップの大多数は自らITツールを使いこなしているとは思えない。そんな方々にIT革命を論じて欲しくない。ヒューレットパッカードのカーリー・フィオリーナや日産自動車のカルロス・ゴーンのように40歳代の経営トップの登場を大いに期待したいところです。

   気になるのが事務系と技術系の襷がけ人事。確かに宮津社長まではそのルールに準じてきたのですが、この大変な時期にそんな安易なことをやっていていいのでしょうか。きっちり新しいNTTグループを統率できる、実行力のある方なら事務技術に拘らないと思います。宮津社長もインタビューの中ではっきりと「そんな時代じゃないだろう」と発言されていたので少しは安心しました。

   NTTコミュニケーションズに来て気付いたことは事業を進めるに持株会社の必要性が感じられないこと。1985年以来の米国AT&TがそうであったようにNTTグループの中で既に競合他社に負けないよう料金競争などに突入していますが、このこと自体がNTTグループ間の競争にもなっているのです。東西地域会社がVoIPのサービスを始めることはNTTコミュニケーションズの高いネットワークを使わないということであり、NTTコミュニケーションズがADSLや無線LANを手がけることは東西地域会社をバイパスすることになります。この競争は後に戻れない。

持株会社の使命はNTTグループ会社のマネジメントなはずなのにグループ会社間での熾烈な競争が始まっています。そんな中で一言だけいえることは、R&Dの存在です。事業会社にとって頼れる研究所である限り持株会社の求心力は働きます。とはいっても昨今のスピードの求められる競争環境に研究所は応えきれているのか?事業会社はノーと皆いいます。しかし本当にそうなのか?小生の認識は1999年の再編以前から感じていたのですが、事業会社が研究所を使いこなせていないことの方が問題であり、大きな機会損失と考えています。