高校同窓会インタビュー平成12年6月20日


元日本マイクロソフト成毛氏の成功の秘訣

元日本マイクロソフト代表取締役社長 成毛 眞氏 インタビューメモ

 札幌西高24期の生徒は約四分の一がとんでもない集団であり、自由・アナーキズムを求めてアグレッシブな活動を行っていたようです。たとえば、札幌南高が先行していた制服自由化については、成毛氏自身が
執行部生徒会長として闘争・授業ボイコットを推進したり、世間一般常識(常識というものが有るとすれば)から見て、好ましくない行動…・・酒、たばこ、授業妨害、ススキノ遠征、万引き集団等…・・をとったりで、勝手気ままな青春を謳歌していました。
 そんな彼らを、札幌西高の先生や環境が懐深くつつみ込み、持って生まれた才能を潰さないように見守って
くれたようです。この学校で養われた気質が、後にアメリカ企業と付き合うのに役立ったり(開拓者気質と親和
性がある)、ベンチャー起業に向いた素養となって、24期から成毛氏、おしん田中裕子、角川書店専務の
土屋、東進ハイスクールの高橋清二他の著名人を輩出したという事でしょう。
24期は卒業以来ずっと継続的に、東京同期会を月1回10人位、札幌同期会を月1回30人位で開催して
おり、この仲間でのビジネス提携も多い。

質問1 北海道地域に対する思い入れ
   北海道とか札幌に対する印象は特に無いが、札幌西高での生活の印象が今でも強烈に残っている。

質問2 高校時代から今の成毛氏へのつながり
   高校時代の状況は、言わば落ちこぼれ的存在であったが、それがいつのまにか時代の要請にマッチし
   て、好き勝手にやっている人がうまく行ってしまったのではないか。

質問3 マイクロソフト社から現在のお仕事への変遷
   MS社長を8年もやっており、仕事の手順が定型化していたし、変化をつけるにはアメリカへ転勤する
   方法しか無かったが、アメリカのように喫煙や魚焼きに制限のある所は嫌いだった。
   いきなり金融業(インスパイア)への転向となったが、コンピュータネットワークが電気、ガス同様インフラとなったため、インフラを使う立場の方が面白いと思ったためである。
   75億円を軍資金にした小規模投資信託銀行であるが、投資先として古いtraditionalな衰退産業の上場企業に1回10〜20億円を投資し、IT化により再生してもらい株価の上昇を狙う。
   ベンチャーキャピタルとは正反対の投資であるが、今はOld Economyの株価が安いので、タイミングが良い。またMBOと言って、会社の一部門を独立させて上場してもらう事も考えている。

質問4 人材採用の基準
   素質を重視し、家族等誰かに愛された経験の有る人を採用する。これはアメリカも同じだが、数分会話するだけで顔つき・話し方でわかる。
   特に地頭(才能、知識に基づく論理的思考を意味している模様)の良い人がほしい。
  <マイクロソフト社での入社試験例>
    日本国内にいくつのガソリンスタンドがあるか、その数と算出根拠を述べよ。
    →  実はマイクロソフト社は正解を持ち合わせてはいない。回答者の論理が納得できればOK。日本の総人口から論理を展開しても良いし、日本の面積・市町村数から割り出しても良い。

質問5 人生につまずいた経験、およびライフプラン
   人生につまずいた事は無いと言うより、気がつかないと言うべきかもしれない。他の経営者も同様の事をおっしゃるようだ。
   ライフプランも無し。その時々に、新たにやるべきだと気づいた事を実行しているだけである。

質問6 その他
 ・ ビルゲイツとは一緒に会社を大きくしたわけだが、彼は必ずしも仕事の結果だけで評価するわけでなく、努力過程を評価するので、人間的かつセンスの良い人である。
  GEのジャックウェルチは世間でいうような良い経営者ではなく、3ヶ月で結果を出さないと即首になる。
・ ゴルフを2年前から始めたが、今では数あるゲームの中で最もおもしろいゲームだと思っている。もっと早く始めて上達すべきであったと反省している。