マニラ出張記 040321

「生まれて初めての異国を堪能、また行ってみたいと問われれば・・・」
JAL機中

平成16218日から22日までの三泊四日の出張でした。往きのフライトで、ビジネスクラスでの私の後ろの席は大柄な年配の、太りすぎて杖を使いながら座るフィリピンビジネスマン(だと思います)。その後ろに品のよろしくないやくざ風の日本人がいました。携帯電話禁止と機内アナウンスされているのに大きな声で無分別に話していたのです。何しに行くのやら、道中顔をあわせたくない人です。現地の新聞によれば帰国前日、日本人が大麻を隠し持ってこのJAL便に乗るところを逮捕されたようです。私の便にもそんな風貌の日本人もいたような怖い気がします。エコノミークラスに座った同僚の話によるとジャパユキさんらしい女性たちとの対話が楽しかったとか・・・・

●マニラホテル到着まで

 マニラまで5時間のフライト、帰国時は4時間。時差は1時間故、欧米出張のような長い時差に苦しむことはなかったのです。空港からホテルまで車で15分足らずの距離なのですが、車の数が多いため1時間近くを要してホテル、ペニンシュラ(一泊1万円程度でマニラでは最高級の部類に属する)に到着しました。その間、日本から持参した携帯電話の勉強会を行いました。2台を持参し発信の仕方などの練習をしました。日本で日頃使う場合と勝手が多少違うのでした。東京の職場にかけたり、職場からかけてもらったり、この2台同士でかけてみたり。これって国際回線を使っているのでとんでもなく費用がかさんだと思います。しかし、この勉強会が夜の緊急時にしっかり活かされたのでした。

 ホテルに到着するまで、スモッグが想像以上であることに驚きました。原因は道路を埋め尽くす車の多さ。慢性的な渋滞。しかも排ガス規制のなさそうな車がじっとその渋滞の中で耐えているのです。また、生活レベルは二極化しており、我々の乗ったトヨタ製のマイクロバスに対する市民の眼差しを強く感じました。市民の乗り物、ジプニーは安いのはわかるのですが、外国人にはまず乗れないと思います。空港の呼び込みタクシーはぼられそうでした。今回はJTBが手配してくれた現地ツアコンダクタに従うだけで何も心配はなかったのですが、一人で来るかといわれれば考えてしまいます。

●セキュリティ

 インタネットやコンピュータの世界でのセキュリティ関連で今回フィリピンに行きました。トレンドマイクロというウイルズ駆除で有名な企業との話し合いです。今回びっくりしたのはこのサイバーの世界のセキュリティよりも物理セキュリティがとても厳しかったのでことです。空港ビルから一度出るとパスポートなどを持参していないと建物に入れない。タバコを吸うためにビルの外に出て同じところから入ろうとするとガードマンに止められる。あっちから入れ。要するにセキュリティチェックのあるゲートからしか入れない。今回滞在したペニンシュラホテルでは玄関で荷物検査、ボディチェックなどが行われていました。気軽に市民が立ち寄るといった雰囲気ではなかったように感じます。PLDT(フィリピンのNTTKDDのような電話会社)にいったときも荷物チェックなど厳しく行われました。後で教えてもらったことですが、PLDTのビルの隣が英国大使館だそうです。それ故いつテロに巻き込まれるかわからない危険地帯だそうな。カラオケ(俗にフィリピンパブと言うらしい)にいったときもマッサージ(一見危なそうなしかし健全なもの)にいったときもしっかりしたセキュリティ検査が行われていました。唯一なかったのはゴルフ場とセブンイレブンかな?

 帰国時の空港におけるチェックは、ビルの入り口(長蛇の列)で荷物検査及びX線検査、チェックインカウンタ、出国検査、JAL搭乗口途中で荷物検査、ボディ検査、靴を脱いでの検査(日本では使えないのだからペソを置いていけといわれた仲間もいました)、搭乗直前の手荷物検査(歯ブラシセットのような小間物までチェック)と入国時よりも厳格であったのには驚きました。結局、イスラム宗教に関わるテロ事件が沈静化しない限りこのセキュリティ検査は続くでしょう。

 そういえば帰国し2日間後マニラの日系企業のオフィスに強盗が入り、日本人エンジニアが殺されたそうです。強盗の狙いはテロとは違うものの、我々からするといつ遭遇するかわからない経験したくないことです。こんなにセキュリティが厳しくしても宗教上の問題だけでなく貧富の差から何が起こるかわからない怖い国というのが私の印象です。

●インタネット

 成田空港の桜ラウンジでメールをチェックしてみました。イーサネットの口をみつけ会社のイントラネットにアクセスしてみたのですが、そもそもインタネットにアクセスできませんでした。同僚のパソコンでやっても結局NG。成田空港が悪いのかパソコンが悪いのか。出張期間中会社のメールを読まないと帰国後、千通を越える未読メールを覚悟しなければなりません。これだけは避けたいと思っていたのです。

滞在したペニンシュラホテルはビジネスマン向けの最高級ホテルだけあってファクスやイーサネットの口、ダイヤルアップの口などすべて揃っていました。見た目は蛸足配線むき出しで豪華な部屋にはそぐわない部分でした。ダイヤルアップの方はモジュラージャックのコードが準備されていましたが、イーサケーブルは配備されてないのでご注意。私の場合は出張直前に気づいて持参してきたので気持ちよくインタラネットにもアクセスできたのです。とはいえ、部屋からのインタネットアクセスができない同僚もいたのでその場合には堂々と部屋の変更を申し出てください。同僚もそうし、帰国の前日に部屋を変え無事インタネットアクセスができたそうです。

 ところが、です。マニラ入りした夜にウイルス(NETSKY.B)が世界中を蔓延し、私の職場でも感染騒ぎとなりました。私のパソコンにもそれらしきメールが多数届いていたのです。同封ファイルをダブルクリックしなければ問題ないことを知っていたので不安はなかったのですが、私の持参したパソコンに入っているはずのウイルスバスターが見当たりません。同僚が私のパソコンを覗いて指摘してくれたのです。確かに同僚のパソコンのタスクバーにあるアイコンが私のパソコンにはないのです。そんな馬鹿な、会社から貸与されたパソコン故抜かりはないとおもっていたのですが、インストールされていないことに今回初めて気づかされました。これはまずい。セキュリティ関連での出張に来て、会社ではセキュリティ関連の責任者をしておりながら何とアンチウイルスソフトがはいっていなかったのです。私が加害者になるわけにはいかないのです。翌日のトレンドマイクロ社との打ち合わせではウイルスバスターを急遽もらうことにしました。NETSKY.Bに汚染されたパソコンからは私の名前を語ってメールをばらまいているようで、私もブラックリストに上げられていたとのこと。私のパソコンにアンチウイルスソフトが入っていないことを知ることと重なり、気持ちは真っ暗。後でわかったことですが、だれかれなく発信人をいつわるウイルスとのこと。いずれにしても気持ちは不愉快でした。

●ウイルス対策本部

 到着したその日の夜にNETSKY.Bと呼ばれるウイルスが職場で蔓延。会社から連絡があり夕食中であるにもかかわらずホテルに戻り対策本部を設置。事象分析、ウイルスパターンの早期配布、翌日の予防アクションなどを議論し一段落。出張中とはいえ、どこにいても対策本部は機能することを証明。携帯電話の高価な勉強会が見事に活かされアウトブレークする前に沈静化できたことはよい経験だと感じました。

●トレンドマイクロ社

 マニラ(正確にはケソンシティー)には世界6ケ所の拠点を一元的にコントロールするアンチウイルスソフト会社、トレンドマイクロ社の研究所があり、ここでウイルスバスターのアンチウイルスパターンファイルが作られ世界中に配布されます。そこでは24時間365日のオペレーションを行っています。我々が到着したときに出回ったウイルスに対する対応は日常茶飯事のようで1日あたり4−5件のパターンファイルを作るとのことです。

 こっそりウイルスバスターを準備してもらい会議中にインストールを実施し一安心する予定でしたが・・・・。インストール後パソコンの動作が不安定になり結局帰国して部下に直してもらうまでパソコンは使えなかったのでした。

●カラオケ、フィリピンパブ

 キャバレーといったほうがよいかも。若い女性を窓越しに品定めをし、自分の好みを指名しいつまでも戯れる。基本的にはお喋りとカラオケ、しかしオプションもあるようで、その代金は日本円で2000円程度とのこと。私と私の上司をのぞき部下たちは3日間三晩同じ店に通ったそうです。そういう私は一晩だけです。向学のためにいってみました。日本人好みの小柄なほっそりした、歌の上手な方(グレースという名前だったと思います)と真剣にデュエットしました。ホイットニーヒューストンのような歌唱力があり、お店の大会で何回か優勝しているようで聴いていて惚れ惚れしてしまいました。勇気を出してエンドレスラブを一緒に歌うことになり、ライオネルリッチを下手ながら演じきりました。グレースとはそれだけです。

●食事や水

 中華料理2回、フィリピン料理2回(シーフード中心)、いずれもマニラでは高価なレストランだったそうで味には大いに満足しました。特にオイスターのニンニク焼きはなかなかの味わい。PLDTの友人は生うにをしきりに勧めてくれたのですが、これは絶対だめ。刺身もだめ。生水だけでなく生ものも絶対だめ。友人が食べて問題ないものであっても。そう注意しておきながら、そういえばゴルフ場ではざるうどんを食べてしまいました。加熱されているといえばそうかもしれないが、生水で洗われたうどんだとすると危ないはず。しかし結局何も問題は起こりませんでした。気にしすぎだったのかもしれません。
 生水は絶対だめ。歯を磨くことにも水道水はだめか?それはないようでした。ホテル備えつきの氷は大丈夫か?結論からいうと問題はありませんでした。初日のバーベキューでラム酒のロックを飲んでしまいました。氷は危険と注意していたのに2−3杯飲んでから氷は大丈夫かと不安な気持ちになりました。翌日問題なかったので結局ホテルなどの氷は問題ないことを確信しました。

●ゴルフ

 マニラから1時間以上もかかる日本人が利用するコースに行きました。青木功が設計したコースでクラブハウスは平等院鳳凰堂のような佇まい、茶店もどこかのお寺といった雰囲気。6500ヤードあるフルバックティーからのプレイゆえに青木功が意図するコースセッティングとの戦い。要するに貸しクラブの性にするよりもコースそのものが難しかったと思います。何年かぶりで100アップしてしまいました。キャディーさんは4名。プレイヤ一人一人に専属のキャディーがつきました。場所によっては4名つく場合もあるとか(ティーアップ、スコア、ボール拭き、日傘もち)。私のプレイの中で彼女の適格なアドバイスはありがたかった。「サー」「下りの早いスライス」云々。ティーショットの方向、パッティングライン、OBかそうでないか、逆風を入れて残り120ヤードで十分云々。私の同伴プレイヤが私のキャディーに相談する場面があったのですが、これは筋違い。私のキャディーは私のプレイに対するアドバイスに徹底しており、自分の担当するプレイヤ以外からの質問には彼女らも困っていたような。プレイ後彼女の献身的な対応に感謝をこめて500ペソご祝儀(約1000円)

●マッサージ

 90分のマッサージを人生初めて体験しました。日本においても受けたことのない世界なのでわくわくしていました。オイルマッサージは気持ちがよく思わず心がとろけそうになりました。足のマッサージでは激しさのあまりつってしまいました。ゴルフをやった後だったとはいえ彼女の激しいマッサージに右足ふくらはぎが敏感に反応してしまったのです。右足土踏まずに対する執念なマッサージは死ぬ思いでした。激痛が走るにもかかわらず何度も何度もモミモミするのです。挙句の果てに足がつってしまったのです。それにしても気持ちの良いことは事実ですが、私の場合、4割は苦しみました。またマッサージを受けたいか、と聞かれれば、ソフトに扱ってくれる方なら喜んでYESといいます。しかし、だれがやってくれるか選択の余地はないでしょう。帰国後、右足の土踏まずをお風呂でマッサージするようにしました。胃と直結するつぼを刺激することによって胃の動きが活発になるからです。これも辛かった90分マッサージによる気づきだと思います。